中途半端な終わり方の意義



 俺はダビデを突き刺してやる
 ダビデは琴を弾いていた……
 サウルの手には槍があった……
 サウルは槍を投げつけて……
 わたしはダビデを壁にでも……

 俺はダビデを突き刺してやる……
 たとえ再びかわされようと……

これはグラサンが幾度となく呟いた呪詛のような言葉である。
TIPS88(アイツ)を参考にしてもらえば分かるが、
ダビデはアイツ――プレイヤーのこと、
サウルは彼――グラサンのことを指している。

幾度となくサウルはダビデを殺そうとする。
その方法はダビデの星とは真逆の意味を持つ『ソロモンの星』。
ソロモンの星の呪力は、悪魔を無限ループの中に封印するという。(TIPSより)

以上より、プレイヤーは無限ループに封印されていることになる。
プレイヤーにとっては身に覚えがあるかどうかは分からないが、間違いなく無限ループに陥っているのだ。

プレイヤーが陥っている無限ループの正体。
それは……

 Remember11の物語が永遠に続くこと。


 無限ループする物語
Remember11には終わりがない。
悪意の夢は終わって始まるのだ。

ココロ編の次はサトル編。
サトル編の次はココロ編。

ココロ編でのこころの行動がサトル編に影響し――
サトル編での悟の行動がココロ編に影響する。

こんな風に……

ココロ編
サトル編
ココロ編
サトル編
ココロ編
サトル編
ココロ編
サトル編

このように、行動(選択肢)が変わったことで僅かずつ異なる世界を構築しながら、物語は螺旋のように永遠に続くのだ。

見ての通り、この螺旋には始まりも終わりもない……。
プレイヤーはこの螺旋を辿って無限ループを進むことしかできない。螺旋の外へ出ることはできない。

"the age of infinity"

無限の期間――
7日間のゲーム期間を無限に繰り返すのだ……。


 ワタシを殺す記憶の迷路
――ワタシを殺す記憶の迷路――

殺されるのはワタシ。
ここでの『ワタシ』はココロ編での意思というより、プレイヤーそのものといった方が正しい。

そう、無限ループに陥って、記憶の迷路に陥って、殺されるのはワタシなのだ。

グラサンの立てた計画は、プレイヤーを無限ループに陥れるのが一つの目標。
この無限ループをより強調するために、Remember11のソフト自体にも、大きな細工が施してあったのだ。

最後に謎を残して、中途半端に終わるストーリー。
ありもしない第3のシナリオを求めて、プレイヤー達は再度物語を開始する……。

ついつい埋めたくなるクリアリストなども、これに拍車をかけているといえよう。

グラサンの計画に陥ったプレイヤーは、無限ループから抜け出すことができなくなる……。


 This story has not finished yet.
 Truth is not revealed.
 And it circulates through an incident.
  ―It is an infinity loop!


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