優希堂と榎本のその後
榎本は胎児αの戯れに巻き込まれて死んでしまった。
この『榎本』は、肉体は優希堂悟、意識は榎本尚哉である。
エピローグ後、つまり最終レベルによる転移後の世界にいる『悟』。
彼からは『オレ』の意識がなくなったため、肉体は榎本尚哉、意識は優希堂悟になっている。
この世界にプレイヤーは介入しない。
このため、榎本尚哉の脳も元通りに動き出し、元々その脳を支配していた榎本尚哉の意識が元に戻るのかも知れない。
そして、榎本尚哉の脳に残された本物の優希堂悟の意識。
彼の意識は、物理的に見ればプレイヤーが本物の榎本尚哉の脳に書き加えたのかも知れない。
以上のように考えれば、彼らもまた、穂鳥と同じように意識だけは生き残ることができたのではないか?
確信できる根拠はないが、そのプレイヤーにとってのRemember11の世界がどうなったかを決めることができるのは、プレイヤー自身でもある。
穂鳥のときと同じことを繰り返すが――
論理的に証明できないことだったら……ロマンチックな方を選びたいよね?
(グラサンはロマンチックっぽくないとかいうツッコミはヤメテ)
だからハッピーエンド?
今までのことを、最も都合よく解釈すれば、
極寒の地に晒された本物の穂鳥も、
犬伏に海に落とされそうになった赤ちゃんも、
滅多刺しにされた榎本、優希堂も、
その意識は、誰一人として死んでいないことになる。
いなくなったのはプレイヤーのみ。
もし、プレイヤーが彼らを認め、この世界を認めれば、Remember11の物語はハッピーエンドになるのではないだろうか?
複数の人格を持つ優希堂沙也香とキンパツ。
彼らは、必要に応じて意識が切り替わり、周囲を翻弄していくのか……?
悟(グラサン)の人格は、黛と付き合うことになるのだろうか……というかできるのか?
それとも、こころを騙して付き合うことになるのだろうか?
途中で人格が変わったら、大変なことになりはしないか?
そして、もっと危ないのが兄を慕い妹を溺愛する優希堂兄妹。
兄妹なのに、兄貴は別の体手に入れてますよ、お父さん!
妙な世界が、完成した……?
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