ついに考察はユウキドウ計画へと至る。
これを知った時、Remember11の謎は一つに繋がるだろう……。
ユウキドウ計画の目的
アイツことプレイヤーによって、優希堂沙也香の人格は失われてしまった。
これが原因で、ユウキドウ計画は立案された。
このため、ユウキドウ計画には沙也香を救い出す要素が含まれなければならない。
加えて、アイツにも復讐できればなおさらよい。
ユウキドウ計画はこの2つが実現される――そう考えられる。
舞台の用意
ユウキドウ計画の下準備として、舞台を用意しなければならない。
まず、偶然起こった飛行機事故と、そこで生き延びた4人+涼蔭穂鳥の情報を掴んだグラサンは、そこをひとつの舞台と決める。
ここを舞台に選んだのは、黛を救うという目論見もあったと思われる。
次に、第3地点である穂樽日の用意。
避難小屋とスフィアの中間地点である穂樽日に施設を建てる。
時空間転移装置を生み出し、穂樽日に設置、作動。
双子の赤ちゃんを宿した内海を穂樽日の施設に収容。
ここまでが一つの山場であっただろう。
最後はスフィアの準備。
スフィアに犬伏、内海、榎本などの役者を揃える。
そして、時間軸の延長線上である2012年1月11日に計画は始動された。
ユウキドウ計画の下準備の意義
これらの下準備は、ハッキリ言って回りくどく、しかも意図が分からない。
グラサンは何がしたかったのだろうか?
それはおそらく……プレイヤーをこの舞台に誘い込むためである。
つまり、人格交換や雪山・スフィアでのサバイバルという、プレイヤーにとって魅力的に思える舞台を用意すること。
正確な表現ではないものの、ぶっちゃけた言い方をすれば、グラサンのしたかったことはRemember11をプレイさせることとも言える。
――と言うのも、プレイヤーが舞台に来ない(=Remember11本編をプレイしない)と、ユウキドウ計画が成立しないためだ。
また、双子の胎児をわざわざ用意したのは、意識の残留云々もあるだろうが、
プレイヤーに似た存在を用意することで、よりプレイヤーをおびき寄せる役割にもなっていたのではないだろうか。
なぜ二人は入れ替わっていたのか?
プロローグの悟と榎本は、肉体が入れ替わっていた。
入れ替わってしまったのは、おそらくプレイヤーのしわざだ。
プロローグで時計台にのぼる悟の様子を見たプレイヤーは、悟の姿を思い浮かべただろう。
その姿とは、パッケージにある金髪の男。
実際は、サングラスをかけた黒髪の男であるのに、プレイヤーは金髪の男を思い浮かべてしまった。
だからこの時、プレイヤーの意思が二人の肉体を入れ替えてしまっただろう。
彼らの肉体は、プレイヤーの勘違いにより入れ替わってしまったのだ。
そしてキンパツの肉体にある本物の優希堂悟の意識は、2012年1月11日午後4:00過ぎに失われる。
原因は、アイツの意思である『オレ』が、キンパツの肉体に宿ったためだ。
時空間転移装置・最終レベル
ユウキドウ計画失敗エンドより、時空間転移装置を最終レベルにすることで、計画は最終段階に入るとのこと。
最終レベル……一体何を行なうのだろうか、これを実行することで何が起こるのだろうか……?
おそらく、ユウキドウ計画の大きな目標は『プレイヤーを無限ループに閉じ込めること』だ。
このことを前提とし、TIPSなどを元に考えた結果、一つの答えに行き当たった。
それは――
1月11日と1月17日の間で時空間転移を行なうこと。
しかも――
対象は世界、宇宙全て。
メチャクチャな結論だと思えるかも知れない。
だが、これにより何が起こるのか考えてみれば、この結論が一番シンプルでスッキリしているのだ。
ちなみにこの転移について正確に表現すれば――
プレイヤーが体験してきた2011年1月、2011年7月、2012年1月の3つの時間軸に対して、転移を行なうことになる。
最終レベルが引き起こすこと
世界中の全ての1月11日と1月17日を入れ替えるとどうなるのだろうか?
……別にどうもならない。
全てのものが転移すれば、誰も転移したことに気付かないのだ。
だが、ひとつだけ、残るものがある。
そう、プレイヤーの意識だ。
プレイヤーの意識だけはそのまま残る。
残った意識は1月11日へ。
プレイヤーだけは物語のはじめに戻されるのだ。
意識の一部は、時計台から落ちてきたキンパツの体に入り、『オレ』として生まれるだろう。
そして、『オレ』は7日間を過ごした後、また転移してきた別の1月11日へ……。
これこそが、ユウキドウ計画。
プレイヤーを無限ループに陥れる壮大な計画。
また、意識が1月11日に戻る様子は、『 ひとりで山小屋遭難エンド』にて描写されている。
サトル編エピローグの直後に起こること
あなたは……悟じゃない……。
私の知っている……優希堂悟じゃないわ……。
黛にこう言われた瞬間、『オレ』はこの世界を失い、1月11日に転移してしまう。
そして、同じような目に遭う人物はもう一人いる。犬伏だ。
犬伏は『影』の存在だ。
自分を転移に巻き込んだ胎児(赤ちゃん)の存在を彼女なりに見つけたのかもしれない。
赤ちゃんへの葬送歌のつもりでかごめ歌を歌い、そしてその赤ちゃんを海に落とそうと手を離そうとする……。
だがこの瞬間、彼女の『影』の意識はこの世界から消える。
『オレ』と『影』がこの世界から消えることで現れるのは、『オレ』と『影』が肉体に居座ることで殺していた元々の意識。
『オレ』が殺していたのは、本物の優希堂悟の意識。
『影』が殺していたのは、優希堂沙也香の主人格。
そう、ユウキドウ計画が完遂されると、この世界に優希堂沙也香が蘇るのだ。
これこそが、グラサンの計画の目的。
グラサンの求めた真実。
TIPS92 最終レベル
以上の考察は、最終レベルについて書かれたTIPS92とも合致する。
確認してみることにしよう。
それは『彼ら』の企てた計画を最終形に導くための行為。
それは 『彼ら』が求めた真実へと導く、最後の一手。
それは『彼ら』が アイツに出会うために必要な、最後の手段。
それが行われたとき――
世界は大変貌を遂げる。
それが行われたとき――
仮初めの世界――『Imaginary』は失われ……
世界の架け橋――『Symbolic』を経て……
真理の世界――『Real』は姿を現わす。
『第3の眼』の開眼とともに――――。
・補足 (以下 Ever17のネタバレ。反転して読んでください)
【TIPS:『第3の眼』の開眼】
第3の眼が開眼すると、真の智恵がわき、万物を見通すことができる。
これは、新しい1月11日の世界に全てを見通せる存在であるプレイヤーが生まれてくることの例えだと思われる。
(ここまでネタバレ)
何重にもなる影の意識
転移してきた新しい1月11日に『影』の意識はある。
この『影』の意識は、この世界にいる犬伏景子の肉体を求めるだろう。
さて、その1月11日の犬伏の肉体には、11年前から宿していた『影』の意識はあるのだろうか?
プレイヤーがプロローグで干渉した世界とその世界が別物だったら、そこに『影』の意識はないのではないか?
だが、どの世界にも『影』は残っている。
なぜなら、『影』がいないと優希堂沙也香が死なず、ユウキドウ計画自体が存在しなくなるからだ。
さて、残留した『影』の意識は、すでに『影』の存在する犬伏の肉体に入り込む。
何重にも重なる『影』。
『影』は大きくなっていくのだろうか? それとも変わらないのであろうか?
ちなみに、犬伏は新しい『影』が肉体に入ってきた瞬間に、おそらく記憶を失ってしまう。
自分の名前が分からずに人づてで得た穂鳥という名前を名乗ったり、一度は見ているはずの悟を知らなかったりとそれを示す点は多い。
またこの時に、バラバラだった人格がその『影』を主軸として統合されたのかも知れない。
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